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特集にあたって 長距離を走る特急列車が次々に消え、食堂車もなくなり、日本の鉄道の代表的な輸送シーンとして長年なじんでいたものが、大きく変貌している。都市圏でも特急ロマンスカーからは行楽色が薄れて通勤ライナー的な性格が強まり、伝統的な都市間高速輸送は途中駅重視のダイヤに変わり、車両は華のないステンレス車両が主流となってきた。幹線も都市圏も実用本位で個性のない、どこも似たような輸送状況となりつつある。個々の施策は理由のあることでサービス全般の水準はむしろ向上した面もあるが、便利さという点では自家用車に勝るものはないのだから、こうした鉄道輸送の均質化が今後に好ましい影響を与えるかどうかは未知数である。一方では京阪神地区でのJRの快速サービス、貨物線等を利用した直通運転の拡大など積極策の成功例もある。新幹線・在来線を問わず都市間高速輸送の一層の魅力を高めることと、都市圏輸送の利便性の追求。これまでとは違った社会でそれらのテーマを具体的にどのような形にしてゆくか。いずれも、本質的な議論が望まれる。 |
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